かんべえの不規則発言

<3月13日>(火)

○3月8日に発表された1月の国際収支速報値では、「1月の経常収支は▲4373億円!」ということがニュースになりました。過去最大ということで、ついつい警鐘を乱打するような報道になるのは、今の時期にはありがちなことです。

○でも、実は季節調整値では1156億円の黒字なんですよねえ。でもそんなの、普通の人は気づきませんわなあ。今年の1月は営業日が19日しかない特異な配列であったし、おなじみ中国の春節はあったし、1月は季節的に貿易赤字が出やすい月なんです。

○世間的には、「やっぱり経常赤字になるんだから、円安は確定だな」とか、「だから早く増税したほうがいい」などといった形で援用できるので、「1月は経常赤字!」というデータは好都合なんじゃないかと思います。これって、「悲観は気分から」の典型パターンでありますね。

○ちなみに所得収支は、相変わらず「月に1兆円強」のペースで黒字が続いています。直接投資のラッシュが続いているので、底堅く推移しています。今後、円安が進むとますます水ぶくれするでしょう。だから月間で経常収支が赤字になるためには、「毎月、貿易収支が1兆円以上の赤字」になることが必要なんです。

○確かに今年1月はそうでしたけど、よほどのことがない限り毎月は続かないと思うんですよね。まあ、イラン問題などで、石油価格が1バレル300ドルくらいになれば、まんざらない話じゃありませんけれども・・・・。少子高齢化で、内需もそんなに強くない今の日本経済で、輸入がそんなに増えるわけないのであります。

○ということで、いつものことですが、新聞の数字には気をつけましょう。