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<6月20日>(月)

○本日は貿易統計の5月分速報値が発表されました。昨年暮れぐらいから当溜池通信では、
「貿易収支が黒字になるから、2016年は円高よ」と言い続けてきたのでありますが、5月は4カ
月ぶりの赤字となりました。季節調整値でみても、4月には3970億円の黒字となっていたもの
が、5月は2698億円に減っています。ちょっとした潮目の変化を感じます。

○この1年くらいの貿易収支の改善は、ほとんど石油価格の下落だけで説明できてしまいま
す。ところがこの間、日本の輸出は増えていないんですよね。つまり輸出が減る以上の速さで
輸入が減っているから、月次の貿易収支が改善しているわけ。エネルギー価格の値下がりは、
日本製品の国際競争力を向上させているはずなのですが、だからといって輸出が増えているわ
けではない。それくらい、日本企業の現地生産は進んでいるし、海外の需要も強いわけではな
いのでありましょう。

○2013年には、「1か月に1兆円超」の貿易赤字を出していた日本経済が、2016年には黒字ベー
スに戻ったことは大ニュースでありました。ところがそれがグングン伸び続けるかというと、
そういうわけでもないらしい。そうだとしたら、「貿易収支が改善するから円高」という本誌
の議論も、あんまり長く続けるわけにはいかないようであります。