国内クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場の最新動向

  • 先日の枝野発言と絡んで、東京電力債とCDSの話をよく見かけるようになったけど、一部分からない言葉があったので備忘録。こちらの資料にほとんど答えが書いてあった。
金融取引における信用リスクとは、債務者に信用事由が発生することによ
り契約上の債権額を回収できないために損失を被るリスクをいう。また、
社債やローンなど金融資産の場合、債務者の信用力の低下に伴って市場価
値が下落することにより間接的に損失を被るリスクも含まれる。
同じ企業の信用力を反映するのだから、CDSプレミアムと社債スプレッ
ドは近似的な数値を示すはずである。しかし、実際に市場で観測されるC
DSプレミアムと社債スプレッドは、銘柄によって程度は異なるものの乖
離していることが多い。特に、CDSプレミアムが社債スプレッドを上回
っているときにはポジティブベーシスといい、反対に下回っている場合に
はネガティブベーシスという。
理論的には、ポジティブベーシスになる傾向が強いといわれている。その
原因のひとつには、社債デフォルトとCDSの信用事由(注4)では定義
される倒産条件の範囲が異なるということがあげられる。多くの場合、C
DSの信用事由の条件には、倒産と支払不履行に加えてリストラクチャリ
ング(注5)が含まれている。このため、社債の場合よりも高いデフォル
ト確率が算定され、プレミアムも高くなる。また、CDSは、参照資産の
信用事由によって保証義務が生じても、プロテクションセラーが支払いを
履行できないというカウンターパーティリスクが内在する。このほか、契
約によってはデリバリーオプション(注6)が認められることも一因であ
ろう。
(注5)
ここでいうリストラクチャリングとは、利払いの減免、返済期限の延長、
一部弁済額の放棄など当初の負債契約の再編成を意味する。