ため池通信

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<7月30~31日>(木~金)

〇都内の感染者数が史上最高を更新する中、ちょっと後ろめたい思いをしながら、富山市に出張してき
ました。

〇「県庁さんの仕事で来ています」といえば、たぶんほとんどの人は許してくれると思うのだが、それ
でもこのご時勢、首都圏からの訪問者が嫌われるのは当たり前である。とりあえず北陸新幹線はガラガ
ラでありました。こちらとしても、万が一にも「アイツのせいで感染者が出た」と故郷で言われては困
るので、なるべく人に会わずに帰るという方針である。

〇それはそれとして、県内の中小企業経営者の集まりで一席ぶって意見交換する、というのはありがた
い企画である。これでもいろんな「地方」を訪ね歩いている方だと思うのだが、ひいき目を抜きにし
て、富山県ほどユニークな中小企業(特に製造業)があって、面白いオーナー社長が居るところは珍し
い。しかも「コロナ禍」という試練におかれた彼らが、いま何を考えているかというのはまことに興味
深い。

〇これはまったくの印象論でしかないのだが、約半年にわたるコロナ禍は各企業にとって、「我慢」の
ステージをとっくに越えていて、そろそろ「受容」の段階にきているのではないのかな、と感じた。
「受容」というのは、英語でいえば"Acceptance"で、いわば経営者が「腹をくくった」状態である。

〇死の五段階というものがある。人が「アナタはもうじき死にます」と言われた場合、おおよそ次のよ
うな心理的な段階を経るのだそうだ。


①拒絶(Denaial)→俺が死ぬだなんて?そんなのウソに決まっている。あの医者はヤブだ。そうだ、
そうに違いない!

②怒り(Anger)→なんで俺が死ななきゃいけないんだ。アイツらはなんで死ななくていいんだ。許せね
え!

③取引(Bargaining)→ああ、神様、私の財産は全てなげうって、これからは真面目に生きていきます
から、お助けください!

④落ち込み(Depression)→といっても、誰も応えてくれる人は居ない。この世には神も仏もないの
か・・・むなしい・・・・。

⑤受容(Acceptance)→虚心坦懐の境地。自分を客観視できるようになり、心に平穏が訪れる。


〇幸いなことに、かんべえは上記のような精神状態に陥ったことはない。が、いずれそういう時が来る
だろう。他人事じゃないですよ。これを読んでいるあなたも、いつそうなるかはわかったものじゃな
い。お気の毒だが、人間はすべて死ぬのである。これは、例外のない法則なのである。