朝のドラめもん 05/23-24

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  • 溜池通信と並んで、世知辛い朝の一服の清涼剤なのですが、時々とんでもなくスマッシュヒットすることがあるのです。

朝のドラめもん
2019/05/23

『「経済が低成長でも構わない。経済よりももっと大事なものがある」とおっしゃる方は多いのですが、「低成長は年金の切り下げになりますよ」と言われると「それは困る」という方ばかりです。福祉の充実した北欧諸国は、皆日本より経済的に豊かな国です。』

何故かここで話が唐突に飛ぶのがジンバブエクオリティでして、前半の「という方ばかり」というところで早速藁人形が出てくるわけでして、そういう話はどこでしたのかと問いたいし、そもそも年金の切り下げ云々は人口動態の変化に対応できていない年金制度の問題をどうするのかという設計の話も絡んでいるから「低成長だから年金切り下げ」とかそんな単純な話じゃないでしょという話なんですが、そんな雑な説明で良いんですかねえ。

でもってその次に北欧の話が出てくるのはこれまた唐突感があるのですが、更に凄みを感じるのは、上記のように「福祉の充実した北欧諸国は、皆日本より経済的に豊かな国です」というのは良いのですが、どのように豊かなのかというデータを示すこともなく、しかもこの後北欧諸国との比較をする
ような話をするでもなく、話の中に唐突にこの一節だけがぶっこまれるというこの脈絡の無さで、アドリブで喋ったのがそのまま講演原稿になっているんじゃないかと思ってしまう位にワケワカラン。

『また、人々が寛大さや合理的な判断能力を失うのは、経済が苦境にある時です。日本の昭和恐慌から戦争に至る道を考えても、このことはご納得いただけると思います。経済が良好な状況にあることは重要です。』

貧すれば鈍すとは言われますのでそうですなあと思いつつ、経済が苦境にある中で寛大さや合理的な判断能力を失って置物リフレ理論などを導入しましたなあと思うと中々味わいがあります。

ところでジンバブエ先生って以前「正しい金融財政政策をしたのに戦争になった」って例を出していたと思うんですが、結局どっちなんですかねえ。

https://jp.reuters.com/article/harada-germany-polcy-idJPKBN19K1JT
2017年6月29日 / 21:11 / 2年前
原田日銀委員、ヒトラーが「正しい財政・金融政策」 悲劇起きた

『低金利は人手不足を引き起こし、生産性と幸福度を高めている訳ですが、これが銀行経営の困難を引き起こしているという議論が度々聞かれるようになっています 14。』

日本語がおかしい。前半の話関係ないし、「これ」は「低金利」なのでしょうが、この文章の書き方だと「これ」が「人手不足を引き起こし生産性と幸福度を高めているということ」を示すように読めるような書き方になっていて、いかにも銀行経営の困難を言う人間が人びとの幸福を阻害するかのように読める書き方をしているのがもうゴミクズ。

この部分ってジンバブエ先生の日本語が下手というよりも悪質な印象操作をするための書き方にしかみえない(ちゃんと書くなら、「これが」じゃなくて「その一方で、低金利が」という形できちんと書けばいいだけのこと)ので、もう入口の時点からジンバブエ先生の悪意を感じて早速血圧ゲージ上昇ですよ。

『その理由は、貸出よりも預金が増えてしまって、運用に困っている銀行があるからです。』

まあここは良いとしまして、

『もちろん、信用乗数のメカニズムによって貸出が増えれば預金も増えるのですが、このメカニズムだけでは貸出の2倍も預金は伸びません。』

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いやあの正直申し上げて「信用乗数のメカニズムによって貸出が増えれば預金も増えるのですが、このメカニズムだけでは貸出の2倍も預金は伸びません」という説明の意味が全く分からないんです
が。

『運用に困っているなら、預金が集まらないようにすれば良いのではないかと思います。』

パンが無いならケーキを食べれば良いじゃないというジンバブエアントワネット理論キタコレですが、そんなこと言いましてもマクロの資金循環的に民間の資金余剰は発生するんですからどこかで預金が超過するところが発生するんですがその辺大丈夫でしょうか、と思いますがもっとひどいのはこの直後に出てくる。

『これに関連して、地域金融機関に人材が集まらない、中途退職するという報道があります 15。報道では、これが困ったことであるかのように書かれていましたが、結果的に必要以上の預金集めに充てている人員や店舗の削減につながる面もあります。これは、銀行業、ひいては、日本経済全体の生産性を上げることにもなります。』

・・・・・( ゜д゜)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・(;゜д゜)

いやー凄いですよね、自分らの大規模緩和が6年たっても全然成果が出てこないで更に長期化するとか言っている事への反省の弁もないのにこれですよ。

そらまあ一つの意見としてどっかのサロンで紅茶片手にそんな話をする向きだってあるでしょうけれども、ジンバブエ先生は経済運営の一環を担う日本銀行の政策委員会委員という立場の人間でしょ。そんじょそこらのへっぽこ評論家やらへっぽこ学者が偉そうに話をするのとは違うんですよ立場分かってますか???

でまあそういう方がこの「地方は滅びろ」と言わんばかりの発言を堂々とその地方の方々の前で言い切ってしまうというのは、人間としての心とかどうなってるんだと思いますし、さっきまで言っていた「幸福を引き上げる」云々とかいうのは所詮自分の正当性をアピールするためのただの飾りなんですよね、というのが非常によくわかる発言ですよね、まあネオリベ(というような手垢のついた術語はあんまり使いたくないが)の正体見たりとはこの事だなと思いましたわ。

しかしまあ何ですな、長崎金懇ということで、長崎を代表する方々というお立場のある方々だから無事に済むわけでして、これ同じことをもっと別のシチュエーションで言ったり、それこそ労働争議盛んだった時代とかに面と向かって労働者の皆様の前で言い出そうもんならどうなるのかとか、そういう想像力も無いんだろうなあとか思うのでした。何ちゅうか人間の温かいハートみたいなのが全然感じられませんですなこの部分の発言。

いやね、日本経済の生産性向上のため地方は中核都市だけ残して後は原野に戻すし人は強制移住みたいなことを命掛ける覚悟と信念をもって話をしているってんだったらまだしも、この続きの部分が情けない。

『もちろん、銀行の店舗が減少すれば、利用者の利便性は低下します。だからいけないという批判もあります 16。しかし、そもそもお客が少ないからお店を閉めようとする訳です。預金口座を持つことは基本的人権に含まれるという議論に私は賛同いたしますが、郵便局、農漁協、信組、コンビニやスーパー内の銀行もあります。預金口座は様々なところで持つことができます。』

・・・・・・・・・よくこれまで「エコノミスト」「日銀政策委員」やっていたと呆れてしまいます。

#他にもいろいろとツッコミどころがあるような気がしますが、時間も無くなってきたのでこの辺で

#しかしこんな金懇に付き合わされた長崎の各界の皆様にご同情申し上げるとともに、この後長崎支店長はどんな火消しをしたんでしょうと思うと長崎支店長カワイソスとしか申し上げようがない

2019/05/24

『QQE で銀行の収益が低下したという議論は、金利低下が景気を回復させたことを見ずに、ただ金利のみが低下しなかったら、もっと利益が上がっていたはずだという、ありえない想定に基づいた議論
だと思います。』

・・・・・( ゜д゜)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・(;゜д゜)

あり得ない想定に基づいたQQE批判を勝手に自分で作っておいて、「この批判はあり得ない想定に基づいたものである」(キリッ)って詭弁のガイドラインの最初の方に出てくるような話しですなあとしか申し上げようがございませんが、意識的にこういうまるでおかしい批判をでっちあげて、そのでっちあげた批判に反論することによって自分の正当性を主張する、という詭弁を意識的にやっているのでしたらそれはそれで確信犯の詭弁なのでいい(イクナイけど)のですが、もしやジンバブエ先生におかれましてはQQEで金融機関の収益が圧迫されている、というような分析はすべからく上記のような珍理論によって行われているとかガチで認識されているのではなかろうか、とあらぬ心配をしたくなってしまうんですがどうなんですかねえ。


とまあそんな感じで、「この分析をしたのは誰だぁ(ガラッ)」と海原雄山が出てくるの間違いなしという謎の分析によってQQE批判にお答えしているジンバブエ大先生なのですが、このような雑な分析を出されてしまいますと(検証するのが面倒なのでパスしていますし、政策インプリケーションも得るものもないですけれども)ほかの部分での分析っぽいのもどうせ我田引水理論やら風が吹けば桶屋が儲かる理論などを駆使しているんでしょうなあ、と思ってしまいますな(個人の偏見です)。

『私の考えでは、預金というのは仕入れで、貸出というのはそれの販売になるわけですが、販売よりも仕入れが多くては、いかなる 業界も成立し得ないわけですので、貸出を増やすか、仕入を減らさなければなりません。』

銀行が貸出を行う際には資産の部に貸出金、負債の部に預金が両建てで立つという行為が発生するってのは日商の簿記3級の勉強をすれば5秒でわかる話なのですが、もしかしてジンバブエ先生の中では預金通貨を実物の子安貝だか寛永通宝だか知らんけど、そういうものが集まってきたのが預金でその実物を貸し出しているとかそういう理解になっているんでしょうかと小一時間問い詰めたいですな。というかまあそういう意味からしてせめて金融の話をするのに簿記3級の理解だけはして頂かないとその時点で議論が成立しないこのようなケースが発生してしまいます、ということなのですが。

仕入が減るということは、縮小していくということになら ざるを得ません。銀行業界としてもそれをお考えになって、貸出以外の新たな収益機会を考えるとともに、仕入を減らし、同時に効率化するという、あらゆる業界で必要なことをなさっていくのではないかと思っています。(後半割愛)』

でまあこの方、相変わらず個別行ベースのミクロの話とマクロの話がごちゃごちゃになっていて、「必要なのは仕入の削減」って言いましても、銀行というのは金融「仲介」業な訳でして、マクロ的な資金循環の中での仲介をしているのですから、ミクロベースで預金の増加を抑えたとしても、マクロベースで見た場合、今の資金循環を前提にするとその結果金融機関の預金が増えてしまう、って昨日も同じこと書きましたが、まあそういう論点もないし、だいたいからして「預金在庫論」ですから、もう話にならんわけですよこれが、というか日銀の政策委員4年以上やっててこれってのは「進化した」とか言ってた置物師匠も大概にアレでしたが、進化すらしないのってアレオブアレというか、究極のアレという感じでこれを任命したのは以下同文って感じですわ。