ため池通信

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<5月30日>(火)

〇昔はですなあ、政治家の息子さんが政界を目指すときには、かならず他人の飯を食わせたもの
です。それも田中角栄事務所とか、鳩山邦夫事務所とか、菅義偉事務所とか、とにかく厳しい職
場で、今風に言えば明らかにブラックで、あそこで秘書が務まるのならほかでも通用するから大
丈夫、みたいな修業の場がたくさんあったのです。永田町には。

〇それがですなあ、いつの頃からかいきなりお父さんの秘書になっちゃうケースが増えたんです
よねえ。有名なのは福田親子ですけれども、あそこはお父さんが珍しいくらい家族に対してよそ
よそしい人だったから、達夫さんは総理秘書官になっても順当に苦労をされて、結果として評判
が良かったのです。普通の家だと、あんな風にはならないと思いますよ。

〇だいたいジュニアに対しては、事務所内でベテランの秘書たちが遠慮しちゃいますからね。翔
太郎さんは、たぶん頭ごなしに叱られるような経験がないままに、総理秘書官になってしまった
のではないでしょうか。これが初めての挫折体験なのでは、ちょっと気の毒な気がします。

〇それから三井物産にしても、昔と違って今は若手を厳しく躾けてはくれないみたいですよ。少
なくともお父さんが新入社員時代に、長銀で受けたようなトレーニングは受けてないのではない
ですかねえ。だって今は、若い人はすぐに辞めちゃうもん。善かれあしかれ、日本の組織は優し
くなったのです。この30年くらいで。

〇てなことで、時代は変わっていくよねえ。ちなみに私も人の親ですから、厳しくなれない自分
の弱さはつとに自覚するところであります。