かんべえの不規則発言

  • 色々勉強になります。

<3月24日>(火)

○今日は産経新聞のエネルギーを考えるシンポジウムに出席。パネリストの中川恵一先生の話がとっても面白かったので、少しだけメモ。中川先生は東大病院放射線科のお医者さんで、以前、とある朝食会で隣に座った際に、こういう小冊子を頂戴したことがある。がんに関するさまざまな誤解が消えるというスグレモノであります。

○で、その中川先生が語る内容がすごく納得のゆくものであった。


*日本人の死因でがんが多いのは、ほかの病気にかからなくなったからである。

*戦前の死因の第1位は結核だった。それが減ったのは、ストレプトマイシンなどの抗生物質が発明されたからというより、高度経済成長で栄養状況が良くなったから。

*戦後の死因の第1位は脳卒中。これも日本人が肉を食べるようになって、血管が強くなってから減った。コレステロールも少し高いくらいの方が良いのだそうだ。

*かくして日本人の2人に1人ががんになり、3人に1人はがんで死ぬ時代となった。とはいえ、早期発見すれば6割は治る。がんはけっして怖い病気ではない。

*世界の国の平均寿命を比べると、一人当たりGDPと見事な相関関係が生じる。豊かな国ほど長生きである。日本はGDP以上に長生きだが、それは国民皆保険制のおかげ。

*日本の政令指定都市の中で、一番長寿なのは広島市である。それは被爆者手帳がいきわたっていて、タダで治療を受けられる人が多かったから。


放射線とがんの関係とか、福島の現状に関する部分は、いろいろ意見の分かれるところかもしれないので、ここでは割愛。まあ、そのうち産経新聞の紙面に出ますので、そちらでご参照ください。それはさておき、「病気は経済状況次第」という指摘はきっと正しいのだと思う。

○「怖い」と思っている事に関する情報は、普段から耳に入らなくなってしまう。だから不正確な知識が広がってしまう。でも、専門家に聞くとまったく違う「常識」が浮かび上がってくる。がんについても原子力についても、そういう傾向が強いような気がします。