「文化審議会著作権分科会私的録音録画小委員会中間整理」に関する意見募集の実施について

雑感

  • 間違った論理に基づく間違ったシステムが作られようとしているのを見守るしかないのかと諦めていたので、MiAUの方々の活動には本当に頭が下がります。職業柄、パブリックコメントなんて通り一遍の手続で、何を言ったところで結論はかわらないものだろうと決めつけていましたが、少なくともこの分野ではそうではない(悪い方向への)前例が有ることが分かったので、微力ながら発出してみようと思います。
  • と心に決めつつ、下手に締め切りまで余裕があるとダメですね。最初の一週間に何もしないと、結局締め切りぎりぎりまで何もしないことになってしまうとよく分かりました。さあ、今から頑張るぞ。orz
  • MiAUパブリックコメントジェネレータを使ってみると、下記の文案ができあがります。よくあるCGIかと思ったらAjaxだったので、妙なところでびっくりした。僕が突っ込みを入れたいのは下記の点。うまく言葉に出来ないのが歯がゆい。
    1. 違法なものをダウンロードする行為を取り締まる前に、違法なものをアップロードする行為を取り締まるべき。それは現行著作権法送信可能化権で対応可能。このような状況下でダウンロードを違法化することは、権利者側に過度な権利を与えることになり、利用者にとって不公平である。
    2. 適用除外について曖昧な表現(「情を知って」)が含まれている。全てのサイトが「適法マーク」を掲載しているわけではないし、仮にしていたとしても十分に利用者に周知できているか分からない状況でコンテンツが合法か非合法かを利用者が知るのは困難。逆に、この点をついて権利者側が不当な請求をしたり、権利者を装った詐欺行為が行われる可能性が強い。
    3. そもそも、これを作った人たち、インターネット使ったことあるの?ダウンロードとストリーミングとか。
  • 一番目と三番目はMiAUのジェネレータに含まれてますね。二番目はジェネレータの最後の項目が該当するのかな。「情を知って」とかにこだわるのはあまり本質的ではないのだろうか。うーん。まあ、明日もう一度見直してから送ってみよう。

追記(11/15)

  • 仕事の合間に仕上げてやろうと思っていたら、そんな隙が無くなってしまいました。非親告罪かについても一言言いたいのだが、そっちは間に合わず。orz
  • 言いたいことのほとんどはMiAUのジェネレーターが代弁してくれているので、セキュリティ屋さんの観点から一文節追加したバージョンで提出しますわ。

パブリックコメントジェネレータ

●105ページの「ii 第30条の適用範囲から除外する場合の条件」の項目について

反対。現在の著作権制度では、パロディなどで他の著作物を原作として利
用していたら違法だと判断されることが多く、原作を批判するものなどは、
許諾もまず得られない。それらをアップロードする側は常にリスクを覚悟
しているが、ダウンロードする人まで過大なリスクを負わされるというの
は、批評精神を著作権で封じ込めようという思想統制だと思う。

●104ページの「i 第30条の適用範囲からの除外」の項目について

反対。この違法化案が通ったら、書籍業界でもダウンロード違法化の対象
とするよう求めていくと言われているし、そうなると現在の日本文化の大
きな部分を占めるパロディ文化が殺されることになる。それらのパロディ
が原作品の利益を損なっているわけでもないのに違法化されるというのは
おかしい。

●104ページの「第30条の適用範囲からの除外」の項目について

反対。ストリーミングとダウンロードは技術上、大差がないのに、法律的
に違うものとして扱うと、技術的な選択の幅を狭めてしまう。そうすると、
Webサービスの可能性が意味もなく狭くなってしまい、日本のIT開発が諸
外国と比べて衰退することになりかねない。

●105ページの「ii 第30条の適用範囲から除外する場合の条件」の項目について

反対。「適法マーク」が無ければ違法サイトとしてダウンロードが違法化
されるというのはおかしい。逆に、違法サイトとされないのなら、合法マ
ークには競争を阻害する目的しかないし、その差別的取扱は独占禁止法違
反とされるべき。

●105ページの「ii 第30条の適用範囲から除外する場合の条件」の項目について

反対。「適法マーク」は、実際にはYouTubeやニコニコ動画といったユー
ザー主導のサービスや、そんなものを簡単に設置されるはずもないアマチ
ュア作者のサイトを、「適法市場」から排除するために、既存レーベルな
ど既得権者がコンテンツ人気誘導の主導権を回復することを目論んだ、公
正な競争に反するものではないか。

●104ページの「第30条の適用範囲からの除外」の項目について

反対。インターネットというものはそもそもグローバルなものであり、日
本の法律で違法なことが海外で違法とは限らないし、その逆もありうる。
海外サイトが正しく日本の著作権法に基づいて適法マークを付ける期待は
薄く、またそもそも海外サイトを「適法市場」から不当に締め出す事にも
つながる。

●104ページの「i 第30条の適用範囲からの除外」の項目について

反対。ダウンロードが違法化されたら、動画・音楽投稿Webサイトはユー
ザーが違法ダウンロードしないよう、アップロードに気を遣わされるよう
になり、その結果、著作権者が自らアップロードしている場合のような、
間違ったクレームにも対応してしまって削除される事故が、頻発するよう
になる。弱小の著作権者に不当なリスクを負わせる改正案であり、賛同で
きない。

●105ページの「ii 第30条の適用範囲から除外する場合の条件」の項目について

反対。違法ダウンロードサイトという考え方は不明確であるだけでなく、
われわれ国民の良識にそぐわない違法判断を裁判所が下す場合もある。
MYUTA事件判決には多くの批判が巻き起こったが、MYUTAのようなサイトを
使用したユーザーも、ダウンロード違法化が成立したら違法だということ
になってしまい、国民の規範意識に反するだけでなく、Webサービス開発
を不当に萎縮することにもなる。

●103ページの「第30条の適用範囲から除外することが適当と考えられる利用形態」の項目について

反対。ダウンロード違法化の議論には、その前提として、違法にアップロ
ードされたコンテンツというものが存在しているはずだが、これは送信可
能化権で規制できるはず。権利者がこれまで違法アップローダに対して十
分な法的対策を取っていないのが悪い。さまざまな問題をかかえこむこと
になるダウンロード違法化の導入はかえって有害だ。

●105ページの「ii 第30条の適用範囲から除外する場合の条件」の項目について

反対。一般ネットワーカーは、違法性の有無にかかわらず、ダウンロード
したコンテンツを有していた場合に、弁護士と称する人が訴訟すると脅し
てきても、抵抗できるほどの法的知識は無く、本当は違法ではないのに不
安になり、「和解金」を出してしまうおそれがある。これは詐欺師を後押
しする法改正案だ。