- 作者: 田中芳樹
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1990/03/01
- メディア: 文庫
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世界観
帰省した実家で偶然発見したので、読み返してみました。
改めて、世界設定に無理が多いなあと思った次第。(そもそも、ビックフォールダウンなんてものが前提になっている段階でそうなんですが...)
例えば、
- 地球上の総人口数千万人、一都市あたり一千万人から二千万人程度?
- 航空輸送が使えず陸路と海路しか無い状態
において、
- ブエノス・ゾンデ市の2,400機のヘリコプター師団
- アクイロニア市の4,000隻の河川舟艇
- プリンス・ハラルド市の6,000両の戦車部隊
の軍備って、いくら何でも国力に比してあり得ないでしょう。作中において兵站の重要性を強調する割には、もう一段メタな部分の書き込みが大雑把です。これは、銀河英雄伝説でも同じ。
とはいえ、御大の地球連邦の興亡〈1〉オリオンに自由の旗を (トクマ・ノベルズ)や皇国の守護者〈1〉反逆の戦場 (C・NOVELSファンタジア)並のボリュームがあると、設定を消化するだけでも大変になってしまうんですが。
田中節
ニコラス・ブルームには、全員を満足させようとして全員に不満を抱かせる傾向がある。しかも、
ときとして当人がもっとも不満なのである。誰もが彼の努力や功績を認めないと、彼はたいそう
不満に、不機嫌になるのだった。その事実に、リュウ・ウェイは気付いているが、ブルーム当人
は気付いていない。
七都市物語 田中芳樹 p.35
「昔、トーマス・アルバ・エジソンという男がいて ...」「刑務所に電気イスをセールスして
回った男だが、そいつが言った。天才とは九十九パーセントの汗と一パーセントの霊感だ、と。
低脳の教育者どもは、だから人間は努力しなくてはならない、と生徒にお説教するが、低脳で
なくてはできない誤解だ。エジソンの真意はこうだ -- いくら努力したって霊感のないやつは
だめだ、と」
ユーリー・クルガン
七都市物語 田中芳樹 p.99
「俺は人間だ」
「そう信じるのは貴官の自由だ」
AAA, ケネス・ギルフォード
七都市物語 田中芳樹 p.287