かんべえの不規則発言

<8月19日>(水)

○ほかの人が書かないから、敢えて書いてしまいますけど、「安倍談話を本当に書いたのは誰
か?」。筆者にはまったく自明なことに思えるのですが、そりゃあ安倍さん自身が書いたに決
まってるでしょ。

○というのも、下記のくだりがあるからです。

何の罪もない人々に、計り知れない損害と苦痛を、我が国が与えた事実。歴史とは実に取り返
しのつかない、苛烈なものです。一人ひとりに、それぞれの人生があり、夢があり、愛する家
族があった。この当然の事実をかみしめる時、今なお、言葉を失い、ただただ、断腸の念を禁
じ得ません。

○誰もが知っている通り、安倍さんは潰瘍性大腸炎という病いを持っている。そのために、第
1次安倍内閣を投げ出してしまった。偶然にもその後、アサコールという新薬に出会ったお蔭
で、大復活して第2次内閣を担うことができた。そういう人に向かって、「断腸の念」なんて
言葉を提示することは、普通のスピーチライターにはできない相談です。そりゃまよっぽど無
神経な人なら別ですけど、スピーチライターという人種は言葉に対するセンシティビティを
持っているものです。でなきゃ使い物になりませんわな。

○「ただただ、断腸の念を禁じ得ません」なんて言葉を平気で使えてしまうのは、安倍さんご
本人以外には考えられません。つまり総理大臣ご自身が、有識者会議の結論を真摯に受け止め
て、内外の諸状況を勘案し、ついでに内閣支持率の動きにも目を光らせて、いろいろ考えた挙
句にひねくりだしたのが安倍談話だと思うんですよね。