背景
- 09/27にZEN4のRyzen 7000番台がリリースされるらしい。ソケット形状がAM4からAM5に変更されて互換性がなくなる。そんなニュースを見ていたら、このタイミングで我が家の3700XをAM4のハイエンドである5950Xにアップグレードしたら面白いのではと思いついてしまったのが運の尽きです。
- 現状の3700XでもCPUパワーを持てあまし気味なので必要性は全くない。とはいえ、5年使うつもりで組んで3年経過したところなので、微妙にアップグレードを図りたい気持ちはある。選択肢としては、①現時点のアップグレードを見送って2,3年後にAM5/ZEN5あたりで全面更新する。インフレとドル高を鑑みると更新費用は25万円から30万円くらいだろうか。②現時点でCPUをAM4のハイエンドに更新して、壊れるか性能に不満が出るまで使い続ける。多分あと5年は戦える。この場合の予算は10万円程度。うん、②でいいんじゃないですかね!
- スペック上の懸念は、メモリがDDR4-PC2666 16GB 4枚刺しなので今となっては低速なこと。まあ、メモリは質より量だと思っているので64GBで不足する事態になったら前倒しで更新すればよいか。その代わり、次の更新で128GB (32GBx4)を狙ってみよう。5年後でも16GBがスタンダードで、32GBがちょっと多めという程度に収まりそうだけどどうでしょうね。
- そんなことを考えていると、3年前に3700Xを買うべく秋葉原を回っていたときにZEN+世代がかなり安くなっていて、あえてそちらを買う人が多かったのを思いだした。今の自分がそんな感じなのでしょう。
CPU
Ryzen 9 5950X 16C/32T 3.4/4.9GHz 64MB 105W 無 $799 2020/11/06 \73,696 Ryzen 9 5900X 12C/24T 3.7/4.8GHz 64MB 105W 無 $549 2020/11/06 \47,801 Ryzen 7 5800X 8C/16T 3.8/4.7GHz 32MB 105W 無 $449 2020/11/06 \34,785 Ryzen 5 5600X 6C/12T 3.7/4.6GHz 32MB 65W 付 $299 2020/11/06 \23,967 Ryzen 7 3700X 8C/16T 3.6/4.7GHz 32MB 65W 付 2019/07/07 \42,984(2019/08頃)
- こうして比較すると5900Xのコストパフォーマンスが魅力的に見えてしまいますが、ここは初志貫徹で趣味とロマンを求めてみよう。まさか7万円越えで16C32TのCPUを真っ正面から選択肢に入れる日が来るとは思いませんでした。
- 5900Xが105Wではなく65Wだったらこっちにしていた気はする。そういえば、ZEN2世代でOEM専用の無印3900があってまさにこれだった気がします。
冷却
- AMD公式によると「AMD recommends a high performance all-in-one liquid or air cooler.」で、推奨機種の大半が280mm以上の簡易液冷、空冷はNoctuaしかない。最近はYoutuberさんがレビュー動画を上げてくれているのでとても参考になります。当初は水冷に興味があったけど、実物を見るとえらくごっついので気が進まなくなる。構造的にも単純な空冷で対処できるならそれに越したことはありません。
- 空冷はできれば12cmファンに納めたい。この条件で調べてみるとDeepCoolのAK620とAK500がよさそう。AK500は最近発売のようで情報が少ないけど、AMDは問題なく冷やせて、その上で爆熱のIntelをどれだけ冷やせるかというレビューばかりなので冷却性能は大丈夫でしょう。
- AK500はメモリスロットと干渉しないデザインなのがポイントだけど、ヒートスプレッダ無しのメモリだし、今後も増設はしない前提なので気にしなくても大丈夫。それであれば、冷却能力重視でAK620が無難だろうか。アマゾンのレビューより、同一マザーボード、同系統のケース、GPUのTDP 2倍という条件でこの冷却能力なら問題はありますまい。Ryzen 5950Xに取り付け、よく冷える
- そんなことを考えていたところ、空冷最強と名高いAssassin IIIなる製品があることを知ったらこちらの方が楽しそうに思えてきた。下手な水冷よりも冷えるらしく、使用中のケースやマザーボードでの動作実績もある。14cmファン2個分の巨大さなので設置するときに大変そうだけど、今後5年使うと思えばよいものを選んだ方がよいでしょう。
グリス
買い時
- ZEN4の発売日が09/27なので、暫く経ってからの方が安いだろうけど品切れのリスクがある。現状の売値はほぼ底値だろうし、下がっても数千円なら、ふるさと納税とあわせて楽天のお買いものマラソンにぶつけてポイントアップを狙う方がお得でしょう。最安値ではないけど、ポイントを合わせれば十分に元を取れているので問題なし。何だかんだで最安値を狙うだけなら、秋葉原の店舗が最強だと再認識しました。
- 最終的にこちらの構成になりました。5950Xが8万円ちょっと、Assassin IIIが1.1万円ちょっと、グリスが1.4千円、合計9.2万円ちょっと。最安値で買った場合は8.5万円位なので、現金支出が7千円ほど高く付いたけど、楽天のSPU分でほぼオフセット、キャンペーンポイントを含めれば十分に黒字です。
- そんなことを思いつつアマゾンをチェックしてみたら、Assassin IIIがタイムセールで\7,260になってやがる。AK620も\5,632なので、ZEN4発売前のキャンペーンみたいなものでしょうかね。というか、ZEN4って本当に09/27に発売されるの?
取り付け
- ケースからマザーボードは取りはずさずに作業する方針ですが、GPUと冷却ファンは取りはずさなくてはならない。どちらもやり方を忘れていて、力任せに作業するわけにも行かないのでマニュアルを読み直す羽目に。GPUの取り外しでは、PCIeのラッチを下げるために割り箸かプラスチックの定規を用意しておけと。空冷ファンの取り外しではスッポンが怖かったけど、直前にCinebentchを走らせてグリスを暖めておいたのが功を奏したと思いたい。
- Assassin III、すごく・・・大きいです・・・。いや、マジで。衣装箱もでかいけど、中身もでっかい。インパクトがありすぎて、今回のメインイベントが空冷ファンの取り付けになってしまった。高級品だけあって、付属のドライバーまでしっかりした作りです。マニュアルも分かりやすい。実際に取り付けてみると、GPUとの隙間が1mm程度しかなくて驚きであります。
- CPUの見た目は変わらないので粛々と作業しましたが、この密度でピンが立ってるのはちょっと怖い。落とすのは論外として、置き方や持ち方を間違えただけで折れ曲がりそう。この形状のCPUって、2001年頃に使っていたTualatin CoreのCeleron以来ではないだろうか。Pentium4やCore2はピンなかったよね...?
- グリスの塗り方が悩ましいですが、今回はシミラボのマスキングテープを使ってみました。これは便利ですね。カードは不便だから普通のヘラを付けて欲しかった。
- 作業時間は2時間程度、この態勢で作業するのは腰へのダメージが大きいです。orz
動作確認
- Windows 10のデジタル認証が消失した件
- CINEBENTCH R23
CPU | Mode | Multi | Single | Multi(%) | Single(%) |
3700X | Default | 12262 | 1285 | - | - |
5950X | Default | 24471 | 1597 | 199.6% | 124.2% |
5950X | Eco Mode | 17201 | 1600 | 140.3% | 124.5% |
5950X | Precision Boost OverDrive | 27336 | 1590 | 222.9% | 123.7% |
5950X | Default(ケース密閉) | 23845 | 1574 | 194.5% | 122.5% |
- OCCT v11.0.12
- 1時間テストを実行して問題なく終了。その間、CPUは全コア100%で温度は65℃位でしたので問題なし。
- 日常的な処理では、思いつく範囲で最大限に負荷をかけてもCore #01-08までしか動かない。50℃前後で、プラスマイナス10℃程度。ピーク時でも70℃位に収まる模様。自分の使い方では体感的な違いが分からないのが悲しいけど、この構成で使えるだけ使って、不満が出たらEco Modeを解除 or PBOに変更して、限界が見えたら次世代へのアップデートする方針にしましょう。
- 室温26℃で実際に使ってみると、アイドルから低負荷状態での温度が50℃、中負荷で55℃、高負荷でも最大65℃位に収まっている様子。瞬間的に70℃を超えてもすぐに60℃台に回復する。3700Xは低負荷時に45℃という印象だったのでちょっと高めですが、コア数が2倍なので温度も高いのかな。GPUはファン停止で52℃のようなので物理的には許容範囲かな。ネット上のレビューは室温が低いケースが多いので直接の比較はできないので、しばらく様子見して気になるようならグリスの塗り直しを検討しましょう。
- 取りはずしたパーツをチェックしていて驚いたのは、虎徹Mark2もGPUも埃が全く溜まっていなかったこと。エアアスター3本くらい使い切るつもりで準備していたけどとても綺麗で驚きました。まあ、GPUは常時ファン停止してるしねえ。汚れようもないか。
- 09/27のZEN4発売で別次元の記録がリリースされると思うけど、3日間とは言え現行プラットフォーム最速の環境を楽しめたのは面白い経験でした。LGA775もAM4もですが、ある程度長命のプラットフォームの成熟期に乗り換えて、しばらくしてからハイエンドにアップグレードするのがコスパいいんじゃ無いかなと思ったしだいです。AM5がどうなるかは今後のお楽しみですね。まあ、そんなこと気にせずに最先端を突っ走るとか突然ゲームに目覚めてハイエンドを求めるのもありですが。:-p
グリスの塗り直し
- ある程度使ってみると、CPUの温度が高い印象を受ける。できれば、アイドル状態では50℃を超えないで欲しい。グリスの塗り方でちょっとやらかしたところがあったので、今のうちにやり直してしまうことに。やってみないと分からないので、悪化する可能性もあるけど今しかできない作業なのでやってしまいましょう。
- GPUの取りはずし方に途方に暮れるも、プラの定規のおかげでなんとかなった。隙間がなくて、割り箸すら差し込めません。やはり12cmファンにすべきだったか...そんなことを思いつつ取りはずしてみると、グリスが多すぎて両サイドから垂れてしまっている。危ういところでピン側には流れ込んでいなかったので助かりました。
- マスキングテープを使いつつ、今度は控えめに塗って再取付。ちょうどグリスも使い切っちゃいました。暫しベンチマークをしたところ、全体的に4-5℃位低下したので大成功!グリスの寿命もあるようなので、1年毎くらいで定期的に塗り直した方がよいそうだけど、面倒でやらない気がする。
RYZEN MASTERで遊んでみる
- Eco Modeというのは、Precision Boost OverdriveでPPT/TDC/EDCのパラメータを調整して低電力動作するように設定しているらしい。であれば、PBOにして手動で同じパラメータを設定した方が利便性はよさそう。一時的に高速動作させるときに再起動しなくてよいし。
- Eco ModeはPPT:87、TDC:60、EDC:90だけど、RYZEN MASTERではもっと低い数字にも設定出来るらしい。というわけで、下限であるPPT:71、TDC:47、EDC:70に設定してみました。Minium Modeって感じでしょうか。上でPBOと記載した記録はPPT:1000、TDC:380、EDC380の設定だったようです。
- ここまで下げてもシングルスレッド性能が低下しないのは面白い。マルチスレッドは電力不足でCPUが60%程度しか稼働できないようだけど、スコア的には3700XのDefault Modeと同等ですね。さすがにここまで縛りプレイするのはアレなので、Eco Mode相当に戻して日常生活することにします。
Eco mode (TDP 65W, 87/60/90) vs. Default Mode (TDP 105W, 142/95/140)
- 一週間ほどRYZEN MASTERとOpen Hardware MonitorとTask Managerとcoretempを常時起動して、負荷と温度の関係を睨みながらPCを使ってきましたが、何もしていないのにクロックが勝手にブーストされて、CPU温度が60℃を超えたかと思えば、突然45℃位に戻ってくるという事象が散見されるのが気になります。
- この現象はBIOSのCore Performance Boostの設定をDisableにすれば解決するようだが、単純にDisableすると3.4GHz固定になってしまうのでそれはそれで問題がある。試しにマニュアルで設定を試みたので記録を残しておきます。
--------------------------------------------------------------------------------------------- Room 25c TDP 105W 142/95/140 TDP 105W 142/95/140 TDP 65W 87/60/90 VID 1.1v 1.05v 1.1v Frequency R23-Multi R23-Single Idle R23-Multi R23-Single Idle R23-Multi R23-Single Idle --------------------------------------------------------------------------------------------- Core Performance Boost off Auto(3400) 21966/57c 1087/46c 41c -----/--- ----/--- --- 16683/51c 1107/45c 41c 3800 -----/--- ----/--- --- 24240/60c 1236/47c 40c -----/--- ----/--- --- 3900 24170/61c 1267/48c 40c 24210/60c 1266/47c 40c 16907/51c 1265/48c 41c 4000 24137/61c 1299/50c 40c 24230/60c 1294/47c 40c 16557/52c 1305/46c 40c 4050 24299/61c 1317/50c 42c 24300/61c 1317/49c 40c 16956/51c 1316/49c 42c 4100 24194/58c 1334/49c 44c 24281/60c 1330/48c 40c 17049/49c 1329/49c 40c 4200 24260/60c 1369/50c 44c 24379/60c 1363/51c 40c -----/--- ----/--- --- 4300 24513/60c 1403/50c 40c 起動せず -----/--- ----/--- --- 4400 起動せず -----/--- ----/--- --- -----/--- ----/--- --- --------------------------------------------------------------------------------------------- Core Performance Boost on Auto 24034/61c 1525/70c 50-60c 17359/48c 1560/66c 50-60c ---------------------------------------------------------------------------------------------