ため池通信

かんべえの不規則発言

<7月22日>(月)

○選挙が終わって一夜明け、いろんな人がいろんなことを言っているのだが、2019年参議院選挙を一
言で言い表せば、「安倍・自民党による国政選挙6連勝」以外の何ものでもあるまい。2012年衆議院選
挙で政権をとってから、2013年参院選でボロ勝ちし、2014年衆院選で皆をあっと言わせ、2016年参院
選も無難にまとめ、2017年衆院選ではまたまた意表を突き、2019年参院選は面白くもない安全勝ちと
いったところだろう。「3分の2がどーのこーの」とか言っている人たちは、あんまり本質をわかって
ないと思う。

○ジャンケンでも将棋でもプロ野球でも、6連勝はなかなかできるものではない。まして議員さんたち
の生命が懸った選挙で、6連勝は途方もない値打ちがある。この間に自民党は勝ち癖がつき、逆に野党
は負け癖がついてしまい、とうとう分裂してしまった。今回の選挙で立憲民主党と国民民主党の両方
の党首が、「ウチはできたばかりの若い政党ですから」と言っているのを聞いて、ああ、とうとうこ
いつらは自分たちが政権与党だったことを否定してし始めた、やっぱり彼らにとっても悪夢だったの
か、と妙に納得してしまった。

○となれば自民党内では、6連勝した人に対して考えることはひとつしかない。「もう1回勝ってくだ
さい」であろう。今の自民党で、衆議院で3回生以下の人たち(2009年選挙で勝ち上がった小泉進次郎
や斎藤健が4回生である)は、安倍総裁以外の下で選挙を戦ったことがない。彼らの願いは、「あと1
回だけ衆院選で勝って、それから辞めてください」であろう。

○他方、6連勝もしてしまった人の立場になってみると、こんなもの、べつに必勝策があるわけじゃな
い。たまたま今までは運よく勝ってこれたけど、7戦目はこれまた全く別の話で、今度こそ負けるかも
しれない。6勝0敗のままで余裕を持って首相の座を降りて伝説を残すのと、6勝1敗で終わって「あー
あ、あの人はもう過去の人」と思われてその座を去るのでは、天と地ほどに人生が変わってくる。少
しくらい、勿体ぶってもいいところであろう。

○「アベは四選目を狙っている」などというのも、権力の怖さを分かってない人の戯言だ。3選でもう
十分に長い。何しろ佐藤栄作どころか桂太郎まで抜いてしまうのだ。ここまで来てしまうと、「どう
やって虎の背中から降りるのか」(虎に食われないように)を考えなければならない。総理を引退し
たら、少しはゆっくりさせてもらって、メディアの監視からも逃れて、あとは清和会の長として収
まって、「おい、今度はお前が総理やってみるか?」などと好き放題をやりたいじゃないですか。安
倍さんは鬼でもなければ悪魔でもない。ごくフツーの政治家なので、そういう人生設計はちゃんとあ
ると思いますぞ。