ため池通信

かんべえの不規則発言

<6月26日>(水)

○トランプ大統領が私的な会話で、「日米安保条約の破棄」に言及したとの報が飛び交っている。ま
あねえ、1980年代以来の彼の信念ですからねえ。同じことを選挙戦の最中にも言ってたし、こっちも
「ああ、またか」と思って聞き流していたけれども、ある意味、見事なくらいにブレない人ですね。

○でも、この点については、マイケル・フリン初代国家安全保障担当補佐官がキチンと説明して、
「日米同盟はアメリカにとって間違いなくお得です。心配ありません!」と言ってくれてからは、鳴
りを潜めていた。そりゃあまあ、1980年代の日本は海外では何もできませんでしたけど、今では有事
法制あり、平和安全保障法制あり、一通りの学習を経ております。自衛隊も海外ではそれなりの実務
を経ておりまして、給油とか掃海とか平和維持とか、軍事行動以外の一通りのことはできるように
なっております。なんならホルムズ海峡の警護だってできますぞ。

○とまあ、その辺の説明はたぶん100回くらい聞いて、そのたびに納得するのだけれども、ときどき
若き日の信念に戻ってしまうというのは老境の人間にはよくあることで、素のトランプさんが「日米
は不公平だ!」と言ったというのは、そんなに不思議なことではありますまい。とはいえ、4月はワ
シントンで、5月は東京で安倍さんと日米首脳会談を行い、間もなく今月は大阪で会うというのに、
ついでに「イランまで行ってきてくれ」とお遣いを頼んだ後の発言にしては少々不思議である。

○やっぱりこれはアレですな、日米通商協議に対する圧力のつもりなんでしょう。トランプさんは、
「日本は安全保障の恩を通商で返せよな」と言いたいわけであって、今頃外務省は「ああ、また来
ちゃったよ」と嘆いているんじゃないかと拝察いたします。ハイハイ、8月合意ですよね、わかって
おりますって。